形状関数と有限要素近似¶
仮想仕事の原理の弱形式を計算機で扱うため,物体の領域を有限個の要素に分割し,要素内の物質点座標・変位・テスト関数を節点値と形状関数で補間する.形状関数の空間微分は形状関数の空間微分,弱形式の離散化は内力仮想仕事の離散化,要素種類ごとの形状関数の具体形は要素番号体系と形状関数ライブラリ以降に委ねる.
領域分割と積分の要素和¶
基準配置の領域 \(\Omega_0\) および現配置の領域 \(\Omega\) を,それぞれ要素 \(\Omega^e_0\),\(\Omega^e\) の合併で近似する:
(\(e\) は要素番号,要素境界は隣接要素間で共有).これにより仮想仕事の原理の体積・面積積分は要素ごとの積分の和に分解される:
(現配置についても \(dV \to dv\),\(\Omega^e_0 \to \Omega^e\),\(\Gamma^e_{0t} \to \Gamma^e_t\) と置き換えて同様).以降,弱形式の評価は要素単位の積分の構成に帰着する.
節点値と形状関数による補間(アイソパラメトリック要素)¶
各要素 \(\Omega^e_0\) には \(n_e\) 個の節点が割り当てられる.要素節点 \(\alpha = 1, \ldots, n_e\) の基準配置座標と節点変位を \(\boldsymbol{X}^e_\alpha, \boldsymbol{u}^e_\alpha\) とし,これらを並べた要素節点ベクトル \(\boldsymbol{X}^e = (\boldsymbol{X}^{eT}_1, \ldots, \boldsymbol{X}^{eT}_{n_e})^T\),\(\boldsymbol{u}^e = (\boldsymbol{u}^{eT}_1, \ldots, \boldsymbol{u}^{eT}_{n_e})^T\) は,全節点ベクトル \(\boldsymbol{X}^n, \boldsymbol{u}^n\)(\(n_g\) は全節点数)から要素 \(e\) を構成する節点の成分のみを抜き出したものである.
要素内のローカル座標である自然座標 \(\boldsymbol{r}\) をパラメータとする形状関数 \(N_\alpha^e(\boldsymbol{r})\) により,要素内の物質座標・変位・テスト関数を共通の形状関数で補間する(アイソパラメトリック要素・Galerkin 法):
形状関数は次の 2 性質を満たすように構成し,自然座標から物質座標への写像 \(\boldsymbol{r}\mapsto\boldsymbol{X}\) は要素内で 1 対 1 となるように要素形状を選ぶ:
(\(\boldsymbol{r}_\alpha\) は節点 \(\alpha\) に対応する自然座標の点,\(\delta_{\alpha\beta}\) は Kronecker のデルタ).第 1 式は剛体並進の再現性を,第 2 式は補間値が節点で節点値と一致することを保証する.要素種類ごとの \(n_e\),\(N_\alpha^e\) の具体形は要素番号体系と形状関数ライブラリ以降で示す.記号の煩雑さを避けるため,要素種類への依存性は要素ごとの上付き添字 \(e\) で代表させる.
以上の補間規則により弱形式の被積分関数は要素節点値 \(\boldsymbol{u}^e, \delta\boldsymbol{u}^e\) と \(N_\alpha^e\) のみで表現できる.一方,ひずみは補間された変位とひずみ・変位関係から,応力はそのひずみと材料構成則から導かれる量であり,節点値から直接補間されるわけではない.これらは要素内の積分点で評価される(数値積分).
全体節点ベクトルの並べ替え規則¶
節点に割り付けられる物理量は,全体節点ベクトルとして節点番号 → 自由度 の順に昇順に並べる.節点 \(\alpha\) における自由度 \(i\) 成分を \(u_{i\alpha}\) とすると,3 次元(\(i=1,2,3\))と 2 次元(\(i=1,2\))でそれぞれ
となる.座標 \(\boldsymbol{X}^n\) およびテスト関数 \(\delta\boldsymbol{u}^n\) も同じ並び方に従う.以降,行列・ベクトル形式の式変形は 3 次元を代表として記述する.
関連項目¶
- 仮想仕事の原理 — 離散化の対象となる弱形式
- 形状関数の空間微分 — ヤコビアン・B 行列の準備
- 要素番号体系と形状関数ライブラリ — 要素タイプごとの形状関数